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大人こそ絵本を

 当店で毎月1回、必ず開催している『大人のための絵本の時間』。参加者は、毎回試行錯誤して一冊の絵本を選び抜いて、選んだ理由と一緒に読んで披露してくださいます。名作あり、好きな作家、自費出版、新作…と採り上げられる本はさまざまですが、中には当店と直接交流のあった作家さんの本もあります。私が作家さんから直接伺ったエピドードが、作品理解をより深めてくれることも。
 8月の会では、伊勢で原画展が開催されたのをきっかけに、私は『さっちゃんのまほうのて』(たばたせいいち)を読みました。生まれつき片手の指がないさっちゃんが、保育園の友だちの言葉に傷つきながらも、前向きに生きていきます。絵本には描かれていない物語のその後を、この時お話しさせてもらいました。
 リアルな世界での「さっちゃん」は、結婚されて元気なお子さん(女の子と男の子)を出産し、本も出版されました。
『お母さんの手だいすき!』(長塚麻衣子著・黒井健絵/中央法規出版)というその本は、2001年11月に当店の『大人コース』に選び、「みやがわぶっくだよりNo.7」にも記しました。
 「大人こそ絵本を」と、ノンフィクション作家の柳田邦男さんも提唱されていますが、今月の「大人コース」は『一冊の絵本 大人になった今だからわかること』(木村美幸)を採り上げました。この本が、みなさんの絵本選びの一助となれば幸いです。
 (橋村孝子)