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8月の大人コース

「トットちゃんの15つぶのだいず」
黒柳 徹子 企画・原案
柏葉 幸子 文
松本 春野 絵
講談社 1,760円

 

~松本春野さんの思いを、みやがわ書店に届けてくださいました~

 

 この「トットちゃんの15つぶのだいず」は、戦争の絵本でありながら、読後に幸福感や明るいイメージが残る作品にしたいと願って描きました。戦争体験がない私でも幸せな絵なら描けます。幸せな記憶を、例えば戦争が始まる前のシーンはすごく大事だと思っていて、平和のために戦争の絵本を描くのだから、平和なイメージが残る絵本でないとダメだと思ったのです。

 読んでいて「もう二度と開きたくない」って思うような絵本を、今の戦争を知らない子どもたちは、手に取りづらいのじゃないか。いろんな覚悟を持たないとそういう作品ってなかなか開けない。でも図書館や、本屋さんでふと手にしたこの絵本を読み進んでもらえるようにする。そして、もう一度開いてもらうためには、『これは平和に向かうための絵本だよ』っていうメッセージを強く出さないといけないと思ったのです。
 トットちゃんのかわらぬ子どもらしさ…。怖い時は体が縮こまるよね。でも、空襲警報が解除された時って、みんなきっとうーんと伸びをするよね。晴れ渡った空は気持ちいいって思うよね。そういうものが戦争時代を描いた絵本にあってもいいのじゃないか。そう思って自分や子どもたちが知っているものをたくさんたくさん描き込みました。それをもしかしたら『希望』っていうふうに感じ取れるかもしれない。 そう強く願って…。 (松本 春野)