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センス・オブ・ワンダーを思い出し…

 窓から見える庭の木にセミの抜け殻が増えていった8月の初め。一度、羽化をこの目で見たいと思っていたのですが、中旬からの雨続きでセミの声がピタッと止んでしまいました。
 まだ地中には外へ出る準備をしたセミたちが残っていたのではないかと心配です。
今年も豪雨の被害に遭った地域も出てしまいました。雨の降り方が怖いです。
 「自然は沈黙した。…鳥たちはどこへ行ってしまったのか。」レイチェル・カーソン著『沈黙の春』の言葉です。人間による生態系の破壊は、食物連鎖の中にあって確実に人間にも影響する。そのことを、自然のうめき声を感じとりながら科学的に証明した本です。「人間だけの世界ではない」との見方は、80年前のアメリカ人の暮らしを変えていく意識を高めました。
 今年5月出版の『13歳からのレイチェル・カーソン』は、今私たちが直面している環境の激変の時代に、再びカーソンの声を思い起こさせてくれる一冊です。カーソンの時代にはなかった温暖化、異常気象、そしてコロナ。ほかにも貧困、差別、紛争などの地球規模の問題に対して、著者上遠さんは言います。
「センス・オブ・ワンダーという感性は、社会のあらゆることにアンテナを張り巡らせて感じること」、「これまでのくらしやライフスタイルを見直し、あらたなくらしを選ぶということが大切です」
 コロナ禍、新たな生活を強いられている私たち。「強いられている」という後ろ向きな姿勢ではいけないのでしょうね。今の生活も未来も大事。そのためになすべきことを選択していく感性を持ちたいと思います。  (さつき)