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「あなたはとにかく運が良い」(二見正直)

 会期中、店主さんに両手両足でも数え切れない数、そう言われた。たしかに原画展スタートからして強運で、コロナ禍の自粛期間が仮に無かったとしたら、私の職場は繁忙期に突入。最低限の準備すらできず、企画はいつまでも企画のままだった。
 禍を転じるかたちで原画展を開始。納品のためにお店を訪れるたび、すかっとするくらい「まさに今」でお客さんと出会う。それはたいてい、店主さんが私に引き合わせたかった方で、話はピンポン玉のようにはずむ。
 23日には「おはなし会&サイン会」で地域の方と交流させていただいた。質疑応答の時間の中で申し上げたことがある。小学生のころの私に、父は、「本を買うならいくらでも金を出す」と言ってくれたこと。あのときの父の言葉により、私は本が好きになり、本を描くようになり、いま、本を披露までしている。時を経て、いまの幸せに繋がっている。
 そんな言葉をくれた父が父であったこと。やはり生まれついて運が良いのだろう、と自覚している。